ミドルエイジ以上の殿方を悩ますことになる前立腺肥大症について。
前立腺肥大症とは
文字通り 前立腺が大きくなり排尿(おしっこ)に問題を生じることです。
厳密に言えば前立腺が大きくならなくても排尿に障害をきたすことはあるのですが、ややこしくなるので割愛します。
前立腺とはペニスの奥、膀胱の下にある臓器です。
通常は12−15gですが、大きくなる人では100g以上に成長してしまうこともあります。
前立腺肥大症の症状は
おしっこが出しにくい(勢いがない)
おしっこによく行く(頻尿)
おしっこに急に行きたくなる(尿意切迫)
おしっこに間に合わない(失禁)
などの症状があります。
http://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/prostate_enlargement/ より引用
上の写真のように前立腺が大きくなれば、色々な症状が出るのも納得ですね。
さて、まあそれくらいなら、と前立腺肥大症を軽くみている方!
実は恐ろしいんですよ。
前立腺肥大症はおしっこが出なくなる 尿閉(にょうへい)ということが起こり得ます。
尿閉になると、
尿が出なくなり苦しい、膀胱の破裂の危険性、尿にばい菌が感染して尿路感染症・敗血症となる可能性
もあり 最悪の場合 命の危険もあります。
ここで大事なことは、風邪薬の中でも 総合感冒薬 です。
総合感冒薬とは 風邪の諸症状を改善させるお薬のことです。
風邪の時に困る 鼻水 を抑える成分 これが尿閉を誘発します。
鼻水抑えるには 神経に作用して コリンという物質を抑制します。
コリンは副交感神経で活性化されるので、抗コリン作用の物質や交感神経を活発にする成分がリスクです。
そして、これからの時期は注意が必要です。
僕が経験した尿閉の患者さんです。
珍しいことではなく、多いときは2−3日に一人診察することもあります。
超音波の写真です。
黒いところがお水=尿 で膀胱です。
もうパンパンですね。
管を入れて排尿させたところ 600cc ペットボトル1本以上の排尿がありました。
改善後の超音波検査です。
黒い部分がなくなってますね。
この方は一度管を入れるだけで排尿できるようになりましたが、おちんちんにカテーテルを留置しなければならないこともあります。
殿方、たかがおしっこ と軽くみずに問題を感じれば病院を受診するようにしましょう。
そして
もちろん頻度はそれほど高くないですが、総合感冒薬の使用は慎重に!
Dr.Koba