世の中には様々なアレルギーがあります。
食物アレルギー(蕎麦、小麦、卵など)、薬物アレルギー、ハチアレルギーなど
重篤な場合はアナフィラキシーショックとなり命に関わります。
精液でもアレルギー反応が起こってしまう可能性があり重篤な場合はアナフィラキシーショックとなり命に関わる場合もある、ということをご紹介したいと思います。
・精液アレルギーはI型反応(IgEやIgGが関与)
・発生率や有病率についてははっきりしない
・精液が触れると接触した部位に痒みや腫れ
・全身性に蕁麻疹や重度のアナフィラキシーを起こすことあり
・精液中の精漿(精液から精子を引いた液体、果糖や電解質、様々なタンパク質を含んでいます)の中にアレルゲンが含まれている
・精子がアレルゲンとなるかは不明
・アレルゲンの原因物質としてPSA(前立腺特異抗原)が同定されている
・精液中に含まれている摂取した薬剤や食事が影響することもある
・精液アレルギーの重要な診断指標として、コンドームを使用しないセックス では症状が出るが(膣内射精や静液を体にかける行為)、コンドーム を使用してのセックスでは症状が出ないことが挙げられる
・診断は皮膚試験や得意的IgE測定
・妊娠を希望する場合は体外受精や洗浄しアレルゲンを除去した精子を用いた人工授精などが可能である
・精液(ヒト精漿)に対する過敏症はまれ
・過小診断されているのではないか
・セックス に関連する原因不明のなフィラキシーショック、外陰部や膣の炎症、骨盤痛などを伴う女性では疑われるべき疾患である
・最善の予防方法はコンドームの使用、精液に触れないようにすること
・事前の抗ヒスタミン薬・抗炎症薬は効果がないこともある
・膣内、皮下の脱感作療法が有効な場合もあるが、アレルギー反応が起こる可能性もあるので注意が必要
・妊娠を希望する場合は洗浄した精子による人工授精、体外受精となる
・精液アレルギーの予防にはコンドームが最も有用である
・しかしコンドームの使用は妊娠を希望するカップルには不妊という問題が生ずる
・精液アレルギーのある女性に対し妊娠を認めた症例報告
・症例は29歳女性
・精液の皮膚試験で陽性
・精液漿を洗浄処理した精子で人工授精で妊娠
(解説)
膣内射精や顔射など精液に触れると、痒みや蕁麻疹、膣の痒み・腫れを感じた場合、精液アレルギーの可能性があります。
重篤な場合はアナフィラキシーショックとなり意識消失や呼吸困難、血圧低下など命に関わります。
上記のような症状を認めた場合はセックス中であっても救急車を呼びましょう!
アナフィラキシーショックとはいかないまでも、セックス をして(精液に触れて)痒みや気分不良、熱っぽい感じなどがある場合の鑑別には、コンドームの有無が効果的です。コンドーム を使用した場合のみ上記のような症状が出ない場合は精液アレルギーが疑われます。(逆の場合、つまりコンドーム を使用した場合に上記のような症状が起こる場合はコンドームの素材によるラテックスアレルギーが疑われます)。
精液アレルギーだとしても体外受精など生殖補助技術を用いることにより妊娠が可能です。