原因がわからない性感染症?
・おしっこすると痛む
・おちんちんから汁(分泌物)が出ている
これらは性感染症の代表的な症状です。
性感染症と言えば
・淋病
が代表的ですね。
これらの病原体は細菌培養検査やPCR(今話題ですね)で検出することが可能です。
淋菌が検出されれば淋菌性尿道炎、クラミジアが検出されればクラミジア性尿道炎と診断できます。
3割程度の方に淋菌もクラミジアも両方検出される混合感染が認められますが、便宜上混合感染の場合は淋菌性尿道炎に分類されます。
ところが
・おしっこすると痛む
・おちんちんから汁(分泌物)が出ている
これらの症状があっても病原体が発見されないことがあります。
これの原因病原体としてマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)が注目されています。
非淋菌性非クラミジア性尿道炎は原因菌が同定できず、原因がわからないことも少なくありません。なんとなく抗生物質を使用しているうちに消失することも多く、臨床的にはそこまで問題になることもなくなんとなく治ることも多いのが実情です。(非淋菌性非クラミジア性尿道炎には、大腸菌などが原因のこともあり一般的な抗生剤内服で治ることもあるからです。)
しかしながら、近年、治療難治性の長期に渡る尿道炎が問題となっています。これの原因が薬剤耐性のマイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)です。
MGは薬剤耐性が進んでおり、クラビットによく効くマクロライド耐性が増加しています。尿路感染症や前立腺炎によく処方されるレボフロキサシン(クラビット)への耐性も高く治療に難渋するようです。薬剤耐性が高度であり、半年以上も尿道痛に悩まされた症例も報告されています。大変恐ろしいです。
治療に関して、まずアジスロマイシン、無効であれば以下の薬剤を使用していく方法が提唱されています。
クラミジアによる治療がマクロライド系(アジスロマイシン)が第一選択の国ではその耐性が、ドキシサイクリンを第一選択薬にしている国ではその耐性が高いとの報告があり、クラミジアにアジスロマイシンを第一選択薬として使用する我が国ではアジスロマイシンへの耐性が懸念されています。
検査について
MGはPCRにより検出可能ですが、残念ながら日本ではまだ保険収載されておらず自費での検査になります。
治療
1. アジスロマイシン(ジスロマック) 1g 1回投与
2.ドキシサイクリン(ビブラマイシン) 200mg分2 7日間
3.シタフロキサシン(グレースビット) 200mg分2 7日間
4.モキシフロキサシン(アベロックス) 400mg分1 7日間(保険適用外)
難治症例
1.ミノサイクリン(ミノマイシン) 200mg分2 14日間
2.ドキシサイクリン(ビブラマイシン) 200mg分2 14日間
3.スペクチノマイシン(トロビシン) 2g連日7日間投与
MGは本当に多剤耐性で治療に難渋することがあります。
MGに罹患しないようにコンドームを使用する・性感染症陰性同士での性行為を心がけましょう!
参考文献
2.Mycoplasma genitalium Infection in Men